
午後3時。
今のうちならまだ暖かいだろう、と思い、1時間だけ近所を一回りしてこよう、と決心し、ヘルメットを抱えて飛び出してきましたので、インナーも何も着込んでいません。
上も下もほとんど普段着です。
でも僕の場合、普段着もバイク着もあまり変わらなかったりするのですが(笑)。
今日は2月の末日。
走り出すとさすがにインナーも無いジーパンだけの下半身は、ちょっと冷たい風を感じますが…
それでも「寒くは無いな」と感じて、ちょっと嬉しくなりました。

買い物はホームセンターと電器屋さんですが、ちょっと遠回りして、いつもの散歩コースを流して「今井の桜」へ。
ここは
昨年も何度か訪れている、お気に入りの場所です。
今年の桜は…
さすがにまだつぼみが出始めたばかりのようです。
このあたりの桜は千葉でも遅いほうなので、見ごろはやはり4月初旬ころでしょう。
それでも、誰もいない桜の土手にバイクを停めて、しばしつぼみを眺めて満足する。

少し走って、ここは今井の東にある「小手賀沼」。
日が傾き始めた時刻の静かな湖面は、ちょっと寒々しい。
ここにもまだ春の気配はなさそうだな。
さて、さっさと買い物を済ませて仕事に戻らなくちゃ…
木下(きおろし)の街を過ぎて、印西のプチワインディングをのんびり流し、印西牧の原のホームセンター「ジョイフル本田」に到着。

目的の買い物を済ませて、缶コーヒーを買いバイクに戻ると、小柄な老紳士が声をかけてきました。
「これは何シーシーですか」
お洒落な帽子をかぶって、きちんとした身なりで、丁寧な話し方でした。
「これですか? 1200cc ですよ」
「大きいですね。 ハーレーですか」
「ハーレーです。でもハーレーの中では小さいほうですよ」
穏やかな笑顔に、自然に話に引き込まれました。
「私は72歳なんです。
平成15年まで自動車整備工場をやっていたんですよ。埼玉の川口というろころでね。もう辞めてしまいましたけどね。
昭和26年に15歳で丁稚奉公にあがって、そのころは日本のメーカーもまだほとんど自動車は作っていませんし、庶民にもクルマは高嶺の花でしたからね。
もっぱらバイクや、エンジン付きの二輪車を整備していました。
その後、だんだん大きなバイクもやりましてね。
知っていますかね。 陸王やメグロなんていうバイクも整備しましたよ。
陸軍のサイドカーなんかもね。
サイドカー付きのバイクは車高が高くてね。測車を外すとね、背が高いんですね。
あと警察もその頃は陸王のバイクを使っていましてね。そんなのもやりました。
これは2気筒ですか?
昔は大きなバイクはほとんど2気筒でしたね。
初めて見た4気筒のバイクは○○○(聞いたことのない名前で失念しました)でしてね。
その頃は日本にはたくさん二輪のメーカーがあったんですよ。
○○○とか○○○とか。
ハーレーですか、すごいですね。
高級自動車が買えるくらいするんでしょうね」
「いえ、これはハーレーの中でも小さくて安い種類ですから。 軽自動車くらいだったらなんとか買えますかね」
「そうですか、そうですか…」
終始、楽しそうにお話をされて、昔のオートバイの話も興味深く、もっと話を聞きたかったのですけれど、自然に話が途切れて、どちらからともなく「それでは」ということになりました。
僕が支度をして、エンジンをかけて、ウインカーを出し、その人を見ると、にっこりと笑って駐車場のほうへゆっくりと歩いていきました。

ホームセンターを後にして、近くの家電量販店で最後の買い物を済ませます。
携帯の時計を見ると、もう午後4時を回っている。
ずいぶん話し込んでいたのだな、と気付いて、帰りは最短直線の国道464を飛ばします。
今日はバイクで出かけて良かったな。
さあ、帰ってまた仕事だ。
本日の走行距離: 45km